第21章 赤い夫との結婚
数日前…………
私は仕事中に飲むコーヒーを淹れに社員全員が使えるちょっとしたキッチンのような場所へと来ていた。
『あ、萌さん』
「あっ!美桜ちゃん!!」
萌さんは私より2つ年上で営業部だ。よく一緒にご飯を食べに行ったりと仲良くしてもらっている。
『萌さんも飲み物ですか?』
「それもあるけど、会議でご飯食べ損ねてね。うどん作ってるの」
私は萌さんの手元に麺メーカーのうどんの袋をみた。5個入りで、麺とつゆが入っているやつである。萌さんはぐつぐつとうどんをゆがいていた。
「美桜ちゃんはコーヒー?」
『はい。もう無くなってしまったので』
「社長の秘書と国際部のかけ持ちは大変そうねー。あ、そうそう。昨日のテレビ観た?レストラン紹介するやつ」
『観ました!!高層ビルの最上階で夜景を見ながら食べるお店いいですよね!ここからも近いですし、しかもお肉むっちゃ美味しそうでした!!』
私は萌さんの横へ移動してお湯を沸かす。
「やっぱりねー。美桜ちゃんならそこに行きたがると思った!」
萌さんはうどんを箸でほぐしながら言った。