第21章 赤い夫との結婚
「ふっ……。そうか」
征十郎は少し頬を染めて恥ずかしそうに言った私を見て笑いながら、どこか安心したような表情をしていた。
私はその表情を見て急激に顔が熱くなるのを感じた。
熱い。顔熱い!この熱さは何!?恥ずかしいから!?
私は心の中で自問自答をした。
「あ、もうすぐ着くよ」
『え?あ、うん。楽しみ!!』
私は自問自答をしていたことを忘れ、わくわくしながら征十郎の方を向いて言った。
『何の料理のお店?』
「内緒」
征十郎はちらりと私を見ながら、左手の人さし指を立てて口に当てて言った。
ドクンッ
『えーー。教えて』
私はあくまでも平常心で、通常の口調で言った。
し、心臓が……。ドクンて。ドクンって言った。この動悸は何??
私はしばらく頭を悩ませていた。
「美桜。ここだよ」
もうすぐ着くと征十郎が言ってから数分が経った。
『え?』
私は外を見る。そこにはとてもとても高いホテルだった。
『ここって……』
向かっている方向からして高級料理が多く並ぶ場所へ来ているのは予想がついていた。
「美桜が行きたいと言っていたところだよ」
それは数日前に遡る。