第16章 赤い夫との甘い夜
翌朝
「起きろ。美桜、朝だ」
『ん………』
征十郎に頬をペチペチと叩かれている。
『…………おはよ』
「おはよう。もう家へ戻らないとまずい」
『あぁ!!忘れてた!』
私は全裸のまま立ち上がりベッドを降りると服を着るため隣のベッドへと走った。
「そんな大層な距離ではないとだが……」
征十郎は手をおでこにあてて呆れたように首を振った。
『征十郎!!』
今度は何だと、征十郎は顔を上げると私が勢いよく飛びついてからのキスをしたので、そのままバランスを崩して朝っぱらからベッドにダイブした。
「……美桜」
私の下になっている征十郎が私を呼んだ。
『ん?』
私は頭を上げて少し上にいる征十郎に目をやった。
「お前は朝から俺に何をさせる気だ?」
『…………。キス?』
「ああ。もうおいで」
征十郎は私の背中に回していた手を離し、少し両腕を開いた。
私は少し上へと移動し、征十郎と顔が並行になるようにした。