第2章 体育祭
9話 案の状
秋は自室の窓の外を眺めてため息をつく。
ザーザーと音をたてて降る雨。
(案の状だよ…)
そう呟いてからもう一度深くため息をついた。
いつもこうだ、秋が少しでも楽しみに思ったことには大体雨が降る。
今日の体育祭もやはり高校二年生、青春したい盛りの秋には楽しみだった。
学校からはすでに連絡が来ており、明日に延期。と書かれたメールが届いた。
(明日もふらなきゃいいけど…)
そう考えてから秋は気分を変えるため口を開く。
「今日は何するかな。」
そう呟きとりあえず座るかと歩き出したとき机の上に置いていた携帯が鳴った。
秋が携帯を手に取ると「唐沢和也」から着信が来ていた。
応答ボタンを押すと
「よお秋!」
と威勢のいい声が耳に聞こえてくる。
「どうした?体育祭は延期だぞ。」
「だから電話したんだよ。あのさ、今日暇だろ?お前んち行っていいか?」
「ん、あーかまわねえよ。」
「何時?」
「んー1時とか。」
「りょーかい。楽しみにしとけよ?」
「なんでお前と会うのを楽しみにしなきゃいけないんだよ、じゃな。」
そういって電話を終了する。
(まあ暇だから助かったけど…)
それでも午後まではまだ時間があるので、秋はもうひと眠りすることにした。