第17章 コンフュージョン
レンから離れたものの、月宮先生の視線はそれでも鋭利だ。
あの優しい眼差しはどこへやら、シャキーンってなってる・・・!
やばい、いつもの女子力100%の月宮先生じゃない。
これは・・・素の声になってる・・・!
「さて・・・弁明があるなら今だけ受け付けようか」
『お、お落ち着いてください月宮先生。
今のは完全なる事故なんです・・・!』
「ああそうだな、完全なる放送事故だ」
『いやそう言う意味じゃなくて・・・!!』
「じゃああれか、この夢小説自体を裏夢小説にしたいのか?」
『そう言う意味でも決してないです・・・!』
「・・・林檎さん、エレは何も悪くないよ。せっかく元の身体に戻ったんだし、そんなに責め立てないでくれるかな」
『えっ?
・・・あ、本当だ。元の姿に戻ってる・・・!』
「・・・悪くない、ね。
それじゃあ悪いのは自分だって言いたいのか・・・。
曲に感動して惚れ直して、執事が居なくなった隙に襲おうとしたって言いたいんだな!?」
どうなんだコルァ!!と、どこぞの不良も無防備に逃げ出していく勢いで怒声を張る月宮先生。
その声は、正しく・・・中村さん・・・!!
っと、さすがにフォローしなきゃだよね。
『いや、そもそもレンは私を襲おうとなんかしてないですってば!』
「心羽は黙っててくれ。
今こいつに制裁を・・・」
『だーかーら!
私がドジ踏んでちっちゃくなってた身体に慣れてなくて、そのせいでバランス崩しちゃって転んだだけです!!
レンは私が派手に転げ落ちそうになったのを助けようとしてくれたんです!』
制裁とか怖いんだけど。
これは包み隠さずに言った方が身の為だと思い、私はついさっきのアクシデントを説明した。
「・・・本当に、か?」
『本当です。
でもタイミングが良かったのか悪かったのか、薬の効果が切れて元の身体に戻っちゃったんです。
それが原因でレンもバランス崩しちゃって、その・・・キスする体制になったんです』
そうだよね、レン?とレンに振ればレンも「・・・あ、ああ・・・うん。その通りだよ」と賛同してくれた。
・・・窮地の時に発揮される私の説明力に感謝だ。