第14章 ガールズトーク
渋谷さんにそう聞かれて、私は思わず首をかしげた。
「言っとくけど、恋愛的な意味でだからね?」
『・・・うーん・・・どうなんだろ。
みんなと居るのは好きだよ。楽しいし、居心地いいし。
でも・・・恋愛感情がどうのって言われてもなあ・・・・・・』
「心羽ちゃん・・・?」
『と、言うか・・・そもそも恋愛した事無いから何が誰かを愛するとか解んないや』
「「・・・えっ・・・」」
言いながらオーシャンビューの窓の向こうに広がる夜空を見る。
宵色の空には星がキラキラしてて、それが水面に反射してて綺麗だ。
「それって、誰かを好きになった事も無いの?」
『うん、無いよ』
「幼稚園とか小学校の先生とかも、ですか?」
『私生まれてこの方誰かに勉強教えてもらった事すら無いんだよね。地元の図書館の本を読み漁って独学で勉強したし。
中学生で覚えなきゃいけないところも最低限は頭に叩き込んだし』
「・・・よく入学出来たわね、早乙女学園」
『あー、それはあれだよ。
早乙女学園長に直談判して。直接歌ってさ、義務教育テストとか早乙女学園の入試も特別枠って事で実施してもらって・・・なんとかギリギリ合格。
3日遅れで登校したのも、寮の部屋とか制服の発注とか色々あったからなんだ。担任の日向先生に初対面したのも入学式の後だったし』
今思い出してみると、我ながらにハードな入学工程だったと思う。
事務所にアポ無しで行って、タイミング良く現れた早乙女学園長に応接室みたいな部屋で歌を聞いてもらって。
緊張しながらも精一杯の気持ちを込めて歌って。小中学校の授業で習わなきゃならない範囲のテストでギリギリ合格点を取って・・・滑り込みの入学。
私の実力が実力だから、シンガーソングライター志望の事も許してもらって。
「そうだったんだ・・・あんたも大変だったわね、・・・」
『ま、そんなこんなで好きな人居ない歴イコール年齢になるかな。
・・・って言うか、あれだよ。一応は私もアイドル目指してるワケだし、今は音楽で一杯一杯みたいな』
「・・・っ、心羽ちゃんっ!」
『、っは、はい?!』
七海さんにいきなり呼ばれて、私は反射的に返事をした。