第6章 緊急事態!
「『あの!』」
同時に声を上げた二人は、目を見合わせて笑ってしまった。
「お先にどうぞ」
『うん。じゃ、先に…。あのさ、高校の時の話なんだけど、侘助くんっていたじゃない?』
「あぁ、うん」
『同じ苗字だったし、親戚かなぁ…って、お風呂で思い出したの』
「…親戚って言うか、」
『ご、ごめんね!言いにくいことなら、今じゃなくてもいいんだ』
少し表情を変えた理一に、は直ぐ様反応した。
聞いてはいけない事を聞いたかもしれない。
そんな不安が、頭を過った。
「じゃ、今度二人っきりの時に、ね?」
理一が耳元で、少し色気のある声で囁かれはあたふたと焦ってしまう。
「それに、その着流し姿。凄く目の保養になるよ」
『ど、どこをどう見れば、保養になるんですか!』
「え、全部。括れた腰の辺りとか、衿元からいい匂いするし」
ばっ!、と音が出そうな勢いで首回りや腰を手でおさえた。
「本当なら、持ち帰りたいくらいなんだけど?」
その言葉に、今度は湯気でも出そうな勢いで顔が真っ赤になってしまった。それをからかうように、
「大丈夫だよ、今日はね。でも、二人っきりになった時は…」
"全部、見せてもらうから"