第1章 肉食系俺様男子の場合
「だよね! あのバンドは歌の歌詞もいいけど……」
「メロディもまた、絶妙なんだよなぁ」
「そうそう! そうなの!」
同じアーティストが好きだった、というベタな会話から始まり。
そこで意気投合した二人が付き合い始めるのに、そう時間は掛からなかった。
だが…………仕事などを理由に、だんだんと二人の間には溝が生まれていたのだ。
『紹介したのは私だけど、別に気にしなくていいからね。でもさー……イケメンで商社マンで、最高の条件の男だったじゃん! 何がそんなに気に入らないの?』
「何がそんなに気に入らないの……か」
友達からの返信に鈴花は手が止まる。