第4章 初デートは×××
「ねぇ……ちょっと」
「カッコいいよね……モデルかな」
ただ歩いているだけだというのに、この騒ぎよう。
虎之助の隣で鈴花はうんざりと項垂れながらも、がっちりと手を握られているせいで離れたくても離れられなかった。
「でもさー隣の女、地味じゃない?」
「よく恥ずかしくないよねー…隣で歩いてて」
グサリ、と鈴花の背中に言葉の刃が刺さる。
更には敵意のような刺々しい視線も。
離れられるものなら、鈴花だってそうしている。
しかし、自宅に帰れば……身の危険を感じずにはいられないのだから。
こうするしかなかったのだ。
「お。次はアレに乗ってみるか? 鈴花」
「……もう、勝手にして」