第3章 強制的同居生活
コホンと咳払いをひとつ。
すぅと息を肺の中へ流し込むと、一気にぶち撒けたい衝動を抑えて鈴花は問いを口にした。
「確かにアプリゲームには貴方の姿が映ってる。でも今時、この位の詐称なんて簡単に出来る世の中でしょう?」
「俺を……疑うのか?」
「当たり前じゃない。私が寝ている間に仕掛けたと思えば、何も不自然じゃないもの」
「ハッ! だったら、そのアプリゲームの下の方に“戻す”っていうボタンがあるだろ。それを押してみろ」
「戻す?」
呆れたと言わんばかりに鼻で笑われて、鈴花はムッとしながらも顎で示された携帯の画面に目を向ける。
そこには確かに、下の隅に“戻す”という謎のボタンがあった。
軽い気持ちで言われた通りポチッとボタンを指でタップする。
――その瞬間。
「えっ! な、なに?!!」
目の前で蹲っていた虎之助の姿が光り出し、テレビの砂嵐のように色味が無くなったかと思うと、一瞬で消え失せた。
「……どういうこと?」
『これで少しは信じたか?』