第2章 ~1日目~
「な…に? じゃあまだ、夢の中だっていうの?」
目に捉えた光景が信じられず、鈴花は自分の頬っぺたをつねってみる。
「いたっ…!」
ジンジンとした痛みが頬に残る。
……と言うことは。
やはり、夢ではないようだ。
「誰? この男」
現実だと分かると、この男が何者なのかという疑問が浮上する。
そこから昨日の記憶を手繰り寄せてみることにした。
彼氏にフラれてファーストフードの店で時間を潰してから、すぐに外へ出た。
その後、真っ直ぐ家へ帰宅したはず。
酒なんてもちろん一滴も口にしていないし、女の一人暮らしだから鍵の施錠には普段から気をつけている。