第11章 恋が始まる夏祭り
「『悔しかったら来週土曜の花火大会に浴衣着てこいよ。万事屋まで迎えにいって笑ってやるからよ』って!」
うがおーうと吠えながら、神楽はその時のことを思い出して怒っている。
それを見ながら、銀時は心の中で思った。
(あァ、そういう……っていうか沖田くん神楽のせるの上手いな。浴衣で花火一緒に行きたかったんだね)
青春だな〜なんて呑気に思っていると、神楽がキッと怒った顔で銀時を見た。
「私あいつに『かわいい』って言わせてやりたいアル!」
それを聞いて、銀時はふっと笑った。
「わかった。神楽、この万事屋銀ちゃんに任せなさい!」
(とは言ったものの……)
ーーでも、お父さんとしてはやっぱりちょっとさみしいわー。沖田のためにかわいくなりたい……ねェ……。
実の子どもはいないけど、実の娘のようにかわいがっている神楽にそう言われて、少し父親の気持ちがわかった気がした銀時であった。
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