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ワールドトリガー 瞳に光を

第6章 繋がる事はない


表情を変えず、間髪入れず、問いかける。

「教えて欲しい。私が今までどんな人だったのか。戻ってきて何が変わったのか。」

先程とのやり取りからは一切繋がりを感じない絵梨の質問。しかしそんな違和感を跳ね除けるような絵梨の表情。
瞼を伏せて、影を潜め、得体の知れない何かとの縁を隠していた。

そんな様子を見てとりながら、木崎が一息ついて話し始めた。

「戦闘スタイルが特殊なだけの普通の隊員だ。ただ、独自の戦闘スタイルとそれを使いこなすセンスや技術は群を抜いていた。結果、A級まで登りつめた実力者だな。

更にはどんなコンセプトのチームとも抜群の連携を見せていた。それはA級上位グループであろうと、だ。うちとも何度か防衛任務をこなしていたが、チームメイトであると勘違いする程に安定した戦術でサポートしてきた。」

「戦い方に変化が見られた。との事ですけど、具体的には?」

「お前の持ち味は常にマップ内を走り回りながら精密な狙撃手が出来る事。勿論オプショントリガーに頼る事もあるが、毎回ではトリオンの無駄遣いだ。
トリオン切れのない訓練室だからと言って、普段とうって変わってそう多用するものでもないだろう。だから変わったと判断した。」

木崎の言った事はまさしく正しいものだった。
トリオンは有限。多用し過ぎてはすぐに限界が来てしまう。
だからこそ、たとえ戦闘を優位に進める為に必要と言っても使えない。時と場面に応じて判断し、使い分ける。

「そうね。オプショントリガーの使い方については、これからもう少し考えるべきなのかもしれない。」

思い出した時、また以前の様に戦える様に。今から癖を付けておくべき。

絵梨にとっては、皆がそう勘違いしてくれれば本望なのだろうな。
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