第6章 恋の策謀事件(上)
この日の1時間目はアリストテレス先生の弁論術だった。
この日は生徒達が前の授業で出された課題の将来の夢について作文発表会が行われた。まず、最初に教壇に立って作文を読むのはヘファイストスだった。
「僕の将来の夢。僕の将来の夢は立派な鍛冶職人になって武器を作り。販売するお店を持つことです。どんな争いにも負けない強い武器を作りたいと思っています。そして大人になったら僕の育て親に感謝をしたいと思います。僕はの両足は生まれつき曲がった醜い奇形児でした。これに怒ったヘーラーは、生まれたばかりの僕を天から海に投げ落としたと育て親に聞きました。その後、僕は海の女神テティスとエウリュノメーに拾われ、9年の間育てられました。この話を聞いた時に実のお母さんであるへーラーを憎むことはありませんでした。お母さんは僕が醜い奇形児で生まれたことにショックを覚えたんだと思います。あれから実のお母さんとは連絡が取れていないので探しても無駄だろうし、会ってもたぶん僕のことは覚えていないんじゃないかと思います。なので9年間僕を育ててくれた育て親に会ってお礼を言いたいです。以上です。」
ヘファイストスの作文に拍手が送られた。次に作文を読んだのはガイアだ。
「私は世界の始まりから生まれた女神なのでこれからのギリシャを引っ張っていける人になりたいです。まだ具体的な将来の夢は決まっていませんが、人々を笑顔にできる仕事いつきたいと思います。」
そして次に作文を読んだのはアフロディティーだった。
「私の将来の夢は魔法の宝帯を手に入れたいと思います。それがどこにあるのかはわかりませんが伝説によればそれを手にしたものは自らの魅力を増し、神や人の心を征服することが出来るのだそうです。私はこの帯をいつか手に入れてみたいです。私は今、サンダルが片方盗まれていて大変困っています。なので早く私のサンダルが見つかるといいなと思います。」
今日の授業で発表したのは3人だった。そのうちのアフロディティーの作文に生徒達がどよめいた。作文を読み終わったアフロディティーは満足そうに席に着いた。