第4章 相棒とマネージャーの果敢な日々
(うう。高尾君は手を離してくれそうにない。でも、これはあたし達兄妹の問題で彼に言ってもしょうがないよ。)
夏美はどうやって高尾の手から逃れようか考えており、何も喋らない。しばらく沈黙していた2人だが、それを高尾が破る。
「俺、夏美ちゃんのこともっと知りたい。話してくれるだけでいいんだ。…ちょっと強引かもしんねーけど。」
高尾は切なさと真剣さが混じったような声を発して夏美に囁く。
「…高尾君。……わかった。」
(高尾君は一昨日、真ちゃんに対する気持ちを話してくれたもんね。あの時とても嬉しかった。私も話さなきゃね…。)
「…うん。ありがとな。」
決心した夏美に高尾は優しく言い、彼女の腕を掴んだ手を離した。
夏美はロス時代の事を順を追って話す。
まず火神大我と小学生の頃出会い、兄の辰也に誘われてバスケを始めて仲良くなり、お揃いのリングを2人で買ってたことに嫉妬して自分の分も辰也に買ってもらったこと。
2人のバスケの師匠であるアレックスと四人で遊んだりふざけあったりしたことをまず話す。
夏美はそこで一旦切って高尾は目が点になるほど驚いていた。
「てか、夏美ちゃん!火神と知り合いだったのかよ?」
「うん!高尾君こそ知ってるの!?」
「俺らIH予選で負けてるし!夏合宿でも偶然会っちゃうし!」
あらゆる偶然が重なり、夏美は途端に嬉しくなって笑顔になり高尾の手を握る。
「すごーい!世間ってこんなに狭いんだね!まだ大我に会ってないから早く会いたいなぁ!」
「はは。やっと笑ってくれたな!」
高尾は今日やっと見せてくれた夏美の笑顔を見れて、安心する。その優しさに夏美は本当の兄が重なり、またドキっとする。
「でも、まだ話し足りなそうだな。」
高尾に促されて夏美は続きを話す。