第5章 何度でも
急な訪問に少し驚きながらも快く招き入れてくれると
先生は蜂蜜が入ったホットミルクを作ってくれた。
「明日になれば幼稚園で会えるのに。」
「しってる。だけど…あいたかったんだ。」
「今日はお誕生日でしょう? おウチの人とお祝いしなくちゃいけないんじゃない?」
「ボクのたんじょうびなんてだれもいわってくれない。」
そう…誰も祝ってくれない。
ボクは必要無いと言われている様でスゴく悲しくなって、
ボクの頬を涙が零れた。
「征十郎くんは泣き虫ね。」
先生の指先が優しく涙を拭っていく。
「お昼は先生とお祝いしたでしょう?」
「うん。」
「だったら“誰も”じゃないよ。先生は征十郎くんのお誕生日知ってるよ。」
「うん。」
先生にぎゅっと抱きつくと先生はボクを膝の上に抱き上げた。
「征十郎くん。“先生”って呼んでみて。」
「。」
ボクが小さな声でそう呼ぶと先生が笑った。
「フフッ。」
先生があまりにも嬉しそうに笑うからボクのあの夢は夢だけど、
夢では無いんじゃないかって思う。
「センセイのおたんじょうびはボクがおいわいしてあげるから。」
「うん。楽しみにしてるね。」
ボクは先生の膝の上に座ったままぎゅっと抱きついた。