第9章 計算と本音【澤村 大地】
休み時間
学校の廊下を歩いていると
『澤村ぁーっ!!』
タタタタッと走ってきて
ぎゅっと抱きしめてくる俺の彼女。
名前は□□ 〇〇
「コラ!走ったら危ないだろ!」
俺は抱き締め返して
愛の言葉を囁きそうになるのを
ぐっと我慢して彼女を諭す。
学校内では変な噂が多い彼女。
先生を誑かしているとか、
街でパパ活してるのを見かけたとか
女子達からはぶりっ子だのビッチだのと
言われて一線引かれ、
男子達からは色気がやばいだのセフレにしたいだの
好き勝手言われている。
そんな彼女から告白されたときは
罰ゲームか何かで言わされているのかと思った。
しかし、彼女を放っておけない気持ちが勝り、
親心のようなものでOKした。
今の彼女は噂からは想像できないほどの
熱烈さで、正直困惑している。
『だって、1時間も離れてたんだよ?
寂しいでしょ?』
俺の体に埋めていた顔を上げ、
うるうるした目で
俺の方を見上げる彼女。
「うっ…//
1時間くらい寂しくないだろ?」
おれはお手上げポーズ
(騙されるな俺!)