第1章 幼馴染
ドンドンドン
「宏光ー!!!
開けろー!!!」
『うるさい!
何時だと思ってんだよ!』
「宏光が電話無視するから
いけないんじゃん!」
『うわ!酒臭っ!
てか勝手に部屋入んじゃねーよ!
おい!』
只今午前1時30分。
仕事で疲れた俺は既に夢の中だった。
なのにこいつからの鬼電、
挙句の果てには
家に押しかけてくる始末。
まぁ、今回が初めてじゃない。
何回このやりとりを
繰り返してることか…。
「宏光ー、
ビールないのー??」
『とりあえずこれ飲め。』
ビールを求めるこいつに
ミネラルウォーターを渡す。
すると頬を膨らませ
拗ねた様子を見せながらも
キャップを捻り半分くらい
一気飲みをした。
「ねー、今日ここ泊まっていい?」
『俺が帰れって言ってもどうせ
帰んねーんだろ?』
「んふふ、せーかいっ!
さすが宏光!」
こいつは俺の幼馴染の葉月。
保育園から高校まで同じ学校で、
大学はこいつが女短に
進学したから離れた。
だけどなぜか就職した
会社がお得意様同士、
そしてアパートも歩いて5分くらいと言う腐れ縁で繋がっている。