第6章 お試し
道「一晩じっくり考えたんだぜ。
でも俺の気持ちは変わらない。」
陽「はい。」
道「付き合ってみないか?
俺たち上手くいくと思うんだ。」
その自信はどこから来るんだろう。
でも私も一晩たって冷静になってみると、道明寺さんの優しさやまっすぐな気持ちは痛いほどわかってた。
もはやつくしがどうこうって気持ちじゃないよね。
私に対する気持ちだけだよね。
陽「…っ、わかりました。
今は彼氏もいませんし。
いいですよ。お付き合いしましょう。」
道「よしっ!!」
陽「でも、待ってださい。
いきなり付き合うのも急すぎて気持ちがついていけてないんで。
お友達からなら…。」
道「友達ぃ?もう俺たち友達だろうが…。
まあ、いいか。待つよ。
焦ってもしょうがねえしな。
とりあえず、よろしくな。」
右手を差し出され、おずおずと私が出ししぶってる手を引っ張りぐっと握られる。
なんて力が強くて大きくて熱い手なんだろう。
ちょっとドキッとしてしまった。
道「ありがとな。素直に嬉しいよ。
俺、お前に断られたらまたキレてたのかもな。」
優しく微笑む道明寺さん。
そんな顔もできるんだ。
いつもこんな顔してるのならいいんだけどな。
陽「もう私の前ではキレないでくださいね。」
道「どうだかな」
といってふふんと笑う道明寺さん。
その笑顔を見て胸がキュンとするのがわかった。
いやいや、油断は禁物だ。
こんな感じで私と道明寺さんのお試し期間が始まった。