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シンデレラと白雪姫

第7章 Galaxy


「女王陛下様…でいいのかな?」
久しぶりに見た白雪姫はトレードマークの赤いカチューシャとドッキングワンピース…ではなく中世ヨーロッパの貴族服のような服装で現れた、のはいいのだが。
なぜか、いわゆる王子服なのである。

「壁を閉じるのに力を貸して欲しい。」
このままだとこの世界の人の暮らしが危うい。
空間の歪みが地震に繋がっており、おとぎ話の外の世界では異常なまでの大きな地震とその余震が起こっているのだという。
「勿論、産業スパイによる被害も計り知れない」
彼らはこちらの世界から光を奪っていく。
愚かな女王と王子の私欲に塗れた政治のお陰でこの国は荒廃しかけている。
もともと世界は一つだった、そういう人があるならばそれはそれで一つの意見だが実際はそんな空論とはかけ離れている。
ナツに言わせてみれば、存在するスポーツも音楽も、法律もファッションもなにもかも元いたあの世界とは違う。美男美女で溢れかえりすぎて美の基準を持つことを諦めたという笑い話もある程だ。
「だが迷い込んだ子猫さんたちを元に戻して壁を閉じても開けるやつはいるんじゃないか?」
勿論、と白雪姫は肩を竦める。
だが一瞬にして伏せた瞳を上げて、艶然と微笑む。

「だからこそお前たちの力が必要なんだ。」
やってくれるか?
その無言の問にシンデレラは応じ、跪いてその手を取った。ナツへの溢れんばかりの想いを抱え、ままならぬ現実を憂い、摩訶不思議な星回りの中に身を置く運命を悟ったのである。
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