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シンデレラと白雪姫

第7章 Galaxy


「うわぁ、綺麗だよ見て見て!!」
無邪気に星空の下に駆け出すのはワンピースに身を包んだロングヘアの少女。
「転ぶなよー、もう真っ暗だからな…おっと危ない」
よろけた少女を背中からすっぽり包み込んだこの男、ちゃっかりそのまま座り込んでいる。
座り込んでいたのは一瞬で二人とも背中は地面に預けていた。

「ナツさんは私を抱き枕扱いですね…」
ぷうっと頬を膨らませて不満そうにナツを見上げるのはシンデレラ。喋る抱き枕だな、と呟いて抱き寄せる腕を一層キツくした。
「時々心配になるんだ。月に帰ってしまいそうだから。」
かぐや姫か!というツッコミにもナツは反応せずに言葉を紡ぐ。月と地球ではなく、おとぎ話の世界とその外側の世界とに二人が分かたれる日が来ることを恐れていることを。
勇ましく自分を救い出してくれた彼女だけの王子様はうわごとのように「絶対に守ってみせる」というようなことを繰り返し呟く。

「もうっ!ええ加減にしぃ!来るかわからん分かたれる未来なんざ見んでええ!久しぶりに逢うたのに何でそんなにシリアスな話ばっかし。それに」
ナツ…あの警官は次の言葉を聴いてまた惚れ直す羽目になるのである。
「守られるだけの女の子やなんて幻想や。私にも守らせてよ…」
一緒に歩いて行きたいの。だから一人でどこか行ったらいやだ…もう一人はいや…。
胸に顔を埋めて呟いた彼女は静かに泣き始めた。
そんな彼女を見て、おとぎ話の外の世界でのシンデレラとは全然違うな、と両者を重ねることのナンセンス度合いをナツは思い知るのである。

「星が綺麗ですね」
頭上から聴こえる声に二人は頭を上げて声の出所を探る。
そこには変わり果てた姿の、よく知った人がいた。

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