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シンデレラと白雪姫

第3章 Concentration


作戦会議がひと段落ついて一同は夕食を取っていた。
「さすがは父娘じゃのう…久しぶりの味じゃ」
「おとんの味」
「うまかのぅ」
「またほっぺが落ちそう」
「いくらでもいけるっちゃ」
「いいお嫁さんになれるぜよ」
「おいら達と暮らそう?」
「白雪姫ほっといて」
小人たちはシンデレラに胃袋をガッチリ掴まれてしまったらしい。白雪姫はどこ吹く風で特別メニュー【デザート付き】を粛々と食べ進めていく。
「あんたアップルパイだけじゃなかったのね」
ポツリと呟き、たまに頷きながら…完食した。

王宮でのパーティーの二週間前、店に人がごった返すという情報を得て、二人は電車を乗り継ぎ京都へ来ていた。シンデレラのボロは目を引くので今日は白雪姫の服を借りている。白雪姫はというと何故持っているかは知らないがスーツを着ていた。メガネを掛けている。最早年齢不詳である。
パーティードレスの店はやはり混んでいて、2人が目立たないためにはもってこいであった。何とか2人は必要なものを揃えることができた。
白雪姫はピンクベージュ、シンデレラはライラックのドレスを買ったらしい。
大きな紙袋を抱えながら洋食屋に入り、食べながら二人は周りに耳をすませていた。

ー王子様の婚約者がついに決まるそうよー
ーあら、それはつまり次の王妃じゃないー
ーついに王子様を見ることができるんだわー
ーよく女王様と大臣が許可したわねー
ーそうね…でもいいじゃないのー

白雪姫がナイフとフォークを置いた。手が震えている。口許も震えていて、ーフィリップーシンデレラにはその口がそう動いたことに気付いたが何も言わなかった。

ここ数週間の聞き込みで得られた情報をさらってみる。どれもこれも女王と大臣の欲に動かされて起きた国の恥である。料理長とともに白雪姫を救った狩人が行方不明であること、女王が王子ではなく大臣に王位を継承させようとしているのではないかということ、王宮直属の牢に入れられたものは生きて陽の目を見ることはないということ…その他諸々であるが、一番の問題は別のところにあった。
王宮直属の牢に入れられた者は、3年以内に沙汰が下る。以内に、というのは新年に穢れを持ち込まないために必ずクリスマス終了後から大晦日までに「大掃除」を行うらしい。
タイムリミットが恐ろしく短いことにシンデレラは焦りを隠せなかった。
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