第6章 ジャーファルに助けられてみる!【甘】
『はぁぁ…寒いなぁ…』
手をすり合わせながら、夜の街を歩いて行く。
いくら年中温暖なシンドリアとはいえ、やはり日の落ちた深夜は少し冷え込んでいた。
『っ、さむ…早く終わらせて王宮に帰ろう…』
冷たい風に肌を撫でられて、ふるりと身震いした。
…なぜ、うら若き乙女が危険な深夜なんぞに出歩いているかと言うと、それは数時間前に溯る。
…
終業時間の鐘が鳴ってもまだまだ仕事は残っている。
もう日も暮れたというのに、白羊塔の1室…執務室は煌々と明かりが灯っており、地獄絵図のような風景が広がっていた…。
『ううっ…これでまだ半分かぁ…』
いつもの如く、机に積まれた大量の資料を見上げるが、そのほとんどは王の失態によるものだ。
『政務をしたくて…政治に興味があったから文官に志願したのに…これじゃ政務どころじゃないよぉ』
…その数に、思わずこの国は大丈夫なんだろうかと危惧の念を抱くほどだ。
『…仕事するか…』
いくら見つめていても、ため息を吐いても、
塔のごとく積まれた資料は消えることはないので、早々に手を付ける。
まさに今、終わらせようとした時…
扉が大きな音を立てて開き、緑色のクーフィーヤが駆け込んできた。
ジャ「レイっ!!」
『っふぁい!?』
あんまりにも凄い勢いだから、びっくりして椅子から落ちるところだった…
『ジャ、ジャーファルさん…どうしたんですか?そんなに慌てて…』
ジャ「シンを…シンを見ませんでしたかっ!?」
その一言ですぐに状況が読みとれた。
『あぁ…また逃げたんですか…』
…今日は確か…溜まった書類をシンドバッド王に片付けてもらう日なので、ジャーファルさんが縄で椅子に縛り付けていたはずでは…
ジャ「えぇ…縄抜けしたみたいで。」
…そんな事をするくらいなら、最初から仕事したらいいのに…いや、まぁ…それが出来ないから苦労してるんだけど…。
ジャ「レイ、一緒に探してもらって構いませんか?」
『分かりました、人手が多い方が見つかるのも早いですし…2人で探しましょう。』
ジャ「ありがとうございます、ではまず王宮から…私は紫獅塔、銀蠍塔、赤蟹塔を見ます。」
『それじゃ、私は白羊塔と黒秤塔、緑射塔を見ますね。』
…
と、いうことで
執務室で唯一、寝落ちしていなかった私が王様捜しに駆り出されたという訳だ。
