第7章 衝撃的
『今日のご飯はカレーだね。』
『………僕にんじんきらい。』
他愛もない話しをして廊下を歩く在りし日の二人。
その、先生と呼ばれた男の人の後ろ姿を見て私はある事実を確信しかけていた。
否定したくてたまらない事実。
すると廊下の前方から中学生くらいの女の子が走って来た。
誰かはわかりきっていた。
「あの女の子、誰かに似てね?」
虹村先輩がそう言い、誰だったかな。と悩み出す。
「もう気づいたかナ。先生の名前は渡辺尚幸(わたなべなおゆき)。女の子は渡辺真希(まき)。
咲姫お姉さン、君ノ、お母さんとおじいさんなんだヨ。」
やっぱり。
お母さんの小さい頃の写真を一度だけ見せてくれたことがある。おじいちゃんと一緒に写って微笑んでいた、あの姿と全く同じ。
その後は「恥ずかしいから」とはにかんで笑い、見せてくれなかったけど。
「本当なのか!?」
「はい…。でも…施設にいたなんて話し、聞いてないです…。それに私が小さい頃に死んじゃって…。よくわからないんです。
おじいちゃんは私が産まれる前に死んだって…。」
お母さんとの記憶は、そのためほとんどない。その分お父さんとの記憶はあるけど……
あまり思い出したくない。
『お父さーんっ!こ、こげ!こげた!』
『またかい!?何回こがすんだい!?』
『……くさい』
この雰囲気に似合わない騒がしいBGM。そこでプッと虹村先輩がふいた。
「おまっ…料理できないの遺伝か…ww」
「先輩!?今ここで思い出さないでくれます!?ブルーな気分にひたってたんですけど!?珍しくひたひただったんですけど!?」
「……やっぱり空気よめないんダ。」
呆れ返ったように言う佐藤君だけど、虹村先輩は私の気分を良くしようとしてやってくれてるんだと思うっ!
………………思うっ!