第3章 異変
狼がいる広場にやって来た一行。
「やっぱり広場っていっても檻で囲まれてるんだね。」
檻の中を覗き込むニカ。
「そりゃあ人に襲ってくる可能性もあるからじゃない?」
同じように千賀も檻の中を覗き込む。
「......。」
そしてユリは狼たちをじっと眺めていた。
「ユリ、狼が見れて良かったか?」
「ん...」
ユリは軽く頷くとまた狼の方に視線を送った。
「なんかユリちゃん、"恋する乙女"って感じの
視線を送ってるように見える(笑)」←
宮田がふざけ半分で言う。
「はあぁぁっ!?」
ユリに恋はまだ早い!←
「確かに......何か親近感でもわくのかな?」
ユリと狼を交互に見る横尾さん。
「......。」
ユリはまだじっと狼を眺めていた。
ボソッ
「狼のどこがいいんだよ......」
「ミツ、狼に嫉妬するなよ(笑)」←
「うるせぇタマ!別にしてねぇし!」
「うっそだぁ♪」
「......(怒)」
『間もなく、おおかみ広場にて
30分間のふれあい体験が始まります......』
俺がタマを睨んだのと同時にアナウンスが入る。
「......。」
そしてアナウンスにいち早く反応したのはユリだった。
「......ユリちゃん、狼とのふれあい体験してみる?」
「ん...もふもふ触る、なの。」
「ちょっ藤ヶ谷!...大丈夫なのかよ、
狼とふれあいって......。」
「野生の狼じゃないんだから、余計な事をしない限り
襲ってこないと思う。危険だったらふれあい体験なんて
実施しないと思うけど?」
「っそりゃあ...そうだけどよ......」
仮にもユリに襲ってきたらどうすんだよ......。
「もふもふ...もふもふ、なの。」
俺が心配している中、ユリは触れ合う気満々でいた。