【CDC企画】Pink Heart Balloonをあなたに
第3章 【リヴァイ】 You've Got A Mail
「リヴァイさん」
二人で桜並木を歩く。
まだ葉すらない、裸の木。
しかし、あと2カ月もしたら綺麗な花を咲かせるだろう。
「これ、バレンタインのプレゼントです」
差し出してきたのは、小さな箱。
「開けてください」
「ああ」
言われた通りにすると、中からは二匹の馬の形をしたチョコレートが出てきた。
「シェリーとリヴァイ兵長の馬に似ていませんか?」
「・・・言われてみれば、色がな」
聞けば、百貨店で偶然見つけたという。
懐かしい愛馬に、リヴァイの瞳が揺れた。
「実は俺もプレゼントがある」
「本当ですか?」
「ああ・・・たいしたモンじゃねぇがな」
白いビニール袋から出したのは、ピンク色のゼラニウム。
「覚えているか?」
それは、かつてサクラがリヴァイに贈ったもの。
「花言葉は、“真実の愛情”・・・だったな」
そしてもう一つ。
「“君ありて幸福”」
愛しそうにサクラを見つめ、その頰を撫でる。
「知っての通り、俺は忙しい。一人じゃ花を育てることができねぇから・・・」
一緒に住もう。
「お前の好きな花を育てていい。望むなら庭付きの家に引っ越そう」
どこだってサクラさえいれば、そこは幸せな場所なのだから・・・
「リヴァイさん・・・」
まだまだ二人は“出会った”ばかり。
これから少しずつ愛を育んでいく。
「本当はバラの花束を買うつもりだったんだが、俺以上に必要としているヤツがいてな」
「その方に譲ってさしあげたのですか?」
「ああ・・・だからゼラニウムにした」
「そうだったんですか・・・」
リヴァイとサクラ。
春の訪れを待ち焦がれるだけの桜並木を、寄り添いながら歩く。
その二人の前に広がる道は、どこまでも、どこまでも伸びていた。