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【CDC企画】Pink Heart Balloonをあなたに

第3章 【リヴァイ】 You've Got A Mail







それから1カ月。
商店街の片隅にある、花屋の前にリヴァイは立っていた。


『 Flower Shop Yamaguchi 』


スーツ姿であるところからするに、仕事帰りなのだろう。
以前からこの花屋は気になっていた。


「あ、外人のお兄さん! どうも〜!」

いつもここの前を通るたびに、店の中から元気よく挨拶をしてくれる女性がいる。
別にリヴァイに対してだけというわけではなく、誰に対しても朗らかな笑顔を見せている。

いわば、商店街の看板娘だった。


明るいその声は人を笑顔にする。

いつか花を買うなら、ここにしよう。

そう思っていた。


色とりどりの花で飾られた店内はとても明るい。
吸い寄せられるように中へと入った。


「いらっしゃいませ! ずっと来てくれるのを待っていました!」

「・・・バラの花束が欲しい」

「お兄さん、日本語上手ですね」


胸元の名札には「山口」と書いてあるが、漢字の読めないリヴァイはそれが彼女の名前なのか、この店の名前なのか分からない。


「ほら、バレンタインでしょ? バラを買っていく人が多くて、今日はあまり残ってないんですよ」
「?」

日本に来て10カ月。
日本語はかなり上達したが、早口で話されるとまだ理解できないことがほとんど。

「バラ・・・ねぇのか?」
「ありますあります! でも、花束にするほどはないので、他の花を混ぜてもいいですか?」
「ああ、頼む」

すると、店員はニコリと笑った。



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