第23章 【飾りか枷か】
「何でこないなったんやろ。」
とある公園のベンチ、オレンジシャーベットを舐めながら美沙は呟いた。
「わりぃな、クソ川とめらんなくて。一生の不覚だわ。」
「いや別に岩泉さんが悪いとは思てへんのですけど。」
「ちょっと2人してどゆことっ。」
縁下美沙は妙な事になっていた。(なってない日があるのかと突っ込んではいけない。)
只今公園のベンチに座って青葉城西の男子バレー部の主将と副主将と一緒にアイスを食しているのである。義兄の力が見たら怒り狂いそうな光景だ。
月曜日で青城は練習休み、そこへたまたま美沙がウロウロしていたのが運の尽き、及川に見つかり相方の岩泉との初対面の挨拶もそこそこにわあわあ言っている間にアイスを奢(おご)られてしまい、今に至る。
「しかし話には聞いてたけど、悪いがあれだ、このバカが珍しくご執心と思えば相手がおめえみたいなタイプとは意外だわ。」
「私自身が意外です。相方さんはあれですか、何かの病気にかかりはったんですか。」
「心配すんな、こいつは元からびょーきだ。」
「さっきから二人ともひどすぎっ。」
言われた及川が抗議する。
「せやけどわからんもんはわからんもん。どっちか言うたら高嶺の花を欲しがりそーなそのご尊顔で何で私。ブサオタ(ブスのオタク)のネット弁慶捕まえて何するつもりなん、絶対おちょくっとるやろ。」
「いや美沙ちゃん前も言ったけどそんなひどくないからっ、あとネット弁慶さんにしちゃリアルで容赦なくないっ。」
「知らん。」
「もー、美沙ちゃんってば自分の事わかってないんだから。駄目だよ、自分で自分をそんなに駄目な子扱いしちゃ。」
美沙はいずれにせよ、と呟く。
「何で私。」
及川はしれっと列挙していく。
「ツンデレなところ、何気に天然ボケなところ、物言いが面白いところ、尽くしてくれそうなとこが何かいい。」
「ツンデレちゃうわ、誰が天然ボケや、物言いは普通や堅気の関西弁やし、ほんで尽くす云々は何の話や。」
「挙がったもん全部に返しやがった、こいつ。」
岩泉が呟く。
「ね、面白いでしょ、岩ちゃん。」
「色々な意味で変わってんな。」
「ああ忘れてた、オタクでも俺全然オッケーッ。」
「ほんまかいな。」
「全く信用されてねぇぞ、無理ねえけどな。」