第2章 1時
右肩が熱い。
激痛とともに体が震える。
「捕まえたァ」
ズシリと背中に感じた重みと頭の上で男の声が聞こえた。
『いっ!!』
グイっと髪を引っ張られ頭を後ろへそった。
「女だからって油断してたら、イってぇじゃねぇか!!
ったくよぉ…もぉ、お前、いらねぇわ」
私の下敷きなっている女の子に重みがかからないように腕と足に力を入れる。
カチャリと、音が鳴り後頭部に冷たいモノが当てられる。
『チッ!……こんなとこで――』
……こんなとこで、
「じゃあな」
『死んでたまるかぁ!!』
腕に仕込んでいたナイフを引き抜き、掴まれた髪を切り裂く。
そのまま体を半回転させ男の銃を持つ肩へとナイフを飛ばした。
バンっ!!
至近距離で聞こえた銃声と再び感じた鋭い痛みはほぼ同時だった。
「っうわぁぁぁ」
勢い余って後ろへとバランスを崩した男の体重がなくなり、自由が利くようになった。
『男の癖に、うるさい』
左手で銃を構える。
右手を添えようとするが、上がりそうもない。