第20章 オニノイヌマニ
島に無事つくまでは、みんな楽しみにしているのがすごく伺えるぐらいに活気付いていた。
それこそ、島が見えたとの報告が入った時の雄叫びなんか今までで一番じゃないかってくらいで。
島に横付けしたらそのあとは早い。
事前に振り分けられていた仕事をみんながそれぞれこなして、もうすでに数人は先行して上陸しているほどだ。
「えー!!トウカ島にいかないの!?」
先行隊のメンバーになっているベポくんが、大声を張り上げたのもさっきのこと。
やることがあるので、と言えば、聞き分け良く頷いてくれて、
「そっかぁー。じゃあトウカになにかお土産買ってくるね。」
と意気揚々とタラップを駆け下りて行った背中は、本当に楽しそうだった。
今も、準備が終わって上陸する人はみんなそれぞれ降りて行く。
「いってくるぞー!!」
「いってらっしゃい。」
顔馴染みになったクルーの方々を送り出し、この船に残っているのは数人と、後最後に上陸するシャチさんだけになった。
「ベポはえらくあんたのこと気に入ってんだなー」
小さな袋を担いで、シャチさんは私を振り返った。
ベポくんと私のやり取りを何処かでみていたらしい。
思い出して微かに笑っている。
「ええ、すごく良くしていただいています。」
そう返せば、まだ私が子供かのように頭を二回軽く叩かれた。
シャチさん、お兄さんみたいだ。
「みればわかる。さて、トウカへ船の案内を頼んでも良いか、マスター?」
そう言って振り向けば、私の隣にいつの間にかマスターさんがいた。
「じゃあトウカ、ついて来いよ。」
シャチさんの見送りをしないとと思っていたが、足早にマスターが船内に消えて行く。
「俺は行くから、お前もいけよ。んじゃ!!」
「はい!!行ってらっしゃい!!」
勢いよく立ち上がったシャチさんに一礼し、私はマスターの後を追いかけた。