第19章 ジョウリク
ここまで察していれば問題ないかと、
「お前は船で留守番だ。」
言葉を続ければ、案の定、また素直に頷いた。
シャチ当たりに島のことを聞いたか。
物分りの言い分、こちらとしては楽で良いが。
「その間、残ってるやつにこの船のノウハウを学べ。出港したら、お前に本格的に働いてもらう。」
「はいっ!!」
物分りの良いぶん、こうしていきなり自分の望んでいたことを言われると、無邪気になるのはどうにかならないのか。
働けるとわかった瞬間に周りに花でも見えるのではと疑いたくなるくらいふわりと笑うのだ。
それにつられて、こちらも笑ってしまうのだから恐ろしい。
「ふっじゃあな。」
こいつの意思がもう一度確認できたからもう良い。
この船から降りる気はないらしい。
もうそれで満足だ。
「…働けるのが嬉しいのか?」
「いろいろしてもらっているばかりで、もどかしくて…」
「そうか。まぁ、無理はするな。」
「はい!」
後ろ手に聞こえてくる会話に、もうすっかりこの船に懐いたなと、さらに笑みがこぼれる。
当初は、まっとうに生きる計画をしていたことをよく話された。
何処かで働きながら実を探す話だ。
遠回しに、海賊として生きる気はないと言いたかったらしいが、今となっては居着いてる。
なんだかんだ、この生活が性に合っていたことに、本人が気づいていないが、教えてやる気はない。
気付いたらあいつのことだ、混乱し出すに違いない。
いや、でもそれを見るのもまた一興、か…。