第19章 ジョウリク
「ペンギンさん!!ペンギンさん!!」
廊下から独特の澄んだ声が響き、ダイニングで話をしていた俺とペンギンの動きを止めた。
パタパタと軽やかに走る音が響き、あいつの怪我の経過も良くなっているのが伺える。
最初は死んだようなもんだったが、やつ曰く、異世界の巫女とやらでそう簡単に死なないらしい。
血だらけでボロボロだったあの頃が嘘かのように、今はピンピンしていた。
「そういえばキャプテン、三日後にどうする?」
先ほどまで何の話をしていたのか忘れたのか、全く違う話になったのは突っ込まないでおこう。
こいつにしては、あいつの呼び声に反応せずに聞きたいことなのだろう。
俺もそれに関しては話しておく必要を感じていたからあえてあいつに知らせたりはしない。
今ここであいつが入ってくるのは面倒だ。
「上陸か。俺は上陸する。この島でしか手に入らない医学書があってな。わざわざ目指したんだ、この機会を逃す気はない。」
聞きたい話をわざとそれて答えれば、目に見えてイライラしたような態度でそいつは仕込みを続ける。
「あんたじゃない。トウカだ。」
珍しく名前をしっかり出した奴に、本気で心配しているのを悟って肩をすくめて見せる。
「あいつは降ろさない。」
「そうか…」
予想していたのか、反論はない。
まぁ仕方ない。
目当ての医学書があるといっても、次の島は治安の悪さで有名だ。
この世界が素人のあいつ上陸には向いていないのは明らかだった。
「ならば俺も待とう。一日でログもたまる小さい島だ。どうせマスターも残るし、あと何人か残してもらえば良い。」
極力この小さい島では長く居座らないのが得策で、揉め事はごめんだ。
そこの意見は合うのか、ほとんど同じ考えを言われて笑みがこぼれる。
「そうだな。」
「了解。トウカが通過の使い方を覚えたから買い物で実践できると思ったが…今回は仕方ない。」