第16章 ハートノカイゾクダン
それから私のペースで歩いてついたダイニングには、予告通り船のクルーの方が集まっていた。
目の前に美味しそうな料理が湯気を立てているというのに、船長さんとその後ろを歩く私にみんな視線を向けている。
みんな白のつなぎを着ていて、何だかそれだけで圧倒された私は浅くゆっくりと呼吸をするしかできない。
船長さんは相変わらずのマイペースさで彼の定位置らしいテーブルで私が船長さんのそこへ行くのを待っている。
船長さんには何も言われて居ないから、私もマイペースにそのテーブルへと歩んだ。
足を引きずりながらやっとの思いで船長さんの隣に立てば、腕を組んでこちらを見ていたその腕が音もなく解かれた。
「お前ら、新しいクルーだ。今はこの通り怪我して役にたたねぇが、動けるようになったら雑用でもなんでもやらせる。」
「トウカと言います。よろしくお願いします。」
船長さんに続いて言って頭を下げる。
緊張が緩んだのは私が顔をあげた時だった。
「女のクルーは初めてだな!!」
「よろしくなー!!」
まるで膨らんだ風船が破裂するようにドッとクルーの方々が声をあげる。
それが合図かのように、いつの間にか食事は始まっていた。
「みんなちょっと怖く見えるけど、良い人だよ。」
私の近くの椅子を引きながらベポくんがにっこりといった。
勢いに圧倒されている私が、怖がっているように見えたらしい。
「あ、いえ、怖いとかではなくて…そのお揃いの服装が迫力あるなぁと…。」
「クルーはみんな着るんだよ。トウカも怪我治ったら着ようね。」
「楽しみです。」
正直に話せばベポくんは意気揚々と身振りを交えて説明してくれる。
その間にマスターが私の前に食べやすそうなものを軽い音を立てながらおいた。
「ほらよ。」
「ありがとうございます。」
朝の時と同じ様に言われて、私も反射的に朝と同じ様に会釈した。