第14章 リハビリ
出てきたコーヒーを横目で見やりながら俺は再び読んでいた本に視線を移した。
朝のこの時間に俺がダイニングにいることが珍しいからか、出した本人は不思議そうな雰囲気を醸し出していた。
「リハビリがてらあいつが来る。」
俺から外れない視線にそう言えば、この船のコックであるそいつは納得したように頷いた。
「もう起き上がれるんです?」
怪我人であるあいつの料理もクルーの飯と同時にこなしていたため、気にかけてはいたらしい。
聞かれて俺は肩を竦める。
「体は満足には動かないだろうがな。ましてや船の上だ。」
「それもそうだいな。じゃ、まだ食べやすいもんの方が良いですか?」
「そこまで気が利いてなくても大丈夫な程度だ」
無茶な表現かと思ったが、そう言えば相手はゆっくりと頷き
「キャプテンはどうします?」
ギラリと光る目で聞いてくる。
「コーヒー。」
いつもなら聞かないくせに聞いてくるのは良い加減に朝飯を抜き過ぎたせいだというのはわかっている。
やはり不満は募っていたらしく、
「たまには食べてくれないと船おりますよ…。」
と少し睨まれた。
「…適当にパンに挟め。」
こいつも強情だからと思いつつ、こちらが折れておく。
そうすれば、満足してキッチンに戻って行った。
暫く何かしているような音がしていた。
しかし、つかの間の静けさは名前を呼ばれて破られる。
返事ではなく、キッチンに顔を向ければしっかりと目があった。
「そう言えば、その子どうするんです?次の島までは少しじゃ?」
まぁ、それはクルーのほとんどが気にしてることだろうと思っていた。
ペンギンとも最初にその話になったし、ベポも遠回しに処遇をよく聞いてくる。
そのおかげで、もう俺の中で答えは決まっていた。