第9章 シロイクマ
「トウカだっけ?お腹空いてない?食べやすそうなもの持ってきてあるんだけど。」
自己紹介が済んだところで、ベポさんは思い出したように食べやすそうなものを乗せたトレーを差し出して来た。
通りで良い香りがしたわけだと私は納得する。
「良いのですか?」
良い香りに思わず笑みを浮かべればベポさんは首を上下に振った。
「良いのですよー!!たんとおたべ!!」
まるでお母さんのようにそう言われ、ベポさんの面白さにまた笑う。
「ありがとうございます。…いただきます。」
「へへー。」
匙をとって動かし辛い右腕でゆっくりと口元に運ぼうとした。
しかし、ベポさんは食べる私から目を離してくれない。
まるで観察するようにまじまじと見てくる。
た…食べ辛い…。
この状況で食べられるほど神経が太くない私は、匙を一旦置く。
「ベポさん、そんなに見られたら食べづらいのですが…。」
「ベポでいいのに!!」
あぁ聞いていない…。
「で、でも。」
「もっと気軽にね!!」
「べ…ベポくん?」
「うん!!」
押し切られるように話を流され、さらに呼び方を決められた私は少しだけ諦めを覚え再び匙をとって今度は本当に口に運んだ。
もちろん、ベポさ…くんの観察付きだ。
あ、でもそれが気にならないくらいに
「美味しいです。」
感想を言えば
「うんうん!!食べて食べて!!」
満足そうに彼は頷いた。
楽しそうに言う彼に、私はまた笑みを浮かべた。