第38章 オシカリ
そんな事を思っていたら、視界に影が落ちた。
覆いかぶさるように、船長さんがこちらを見下ろしてくる。
「船長…さん?」
どうしてこの状況に至ったのか。
辛うじて呼んでみたが悉く無視された。
「誰にもやらねぇ。」
不機嫌は変わらずだが、急に言われた言葉に戸惑う。
ニヤリと口角をあげて、耳元に口を寄せると囁くようにもう一度、
「お前は俺のものだからな。」
言われた。
背中が震えてえも言えない恐怖にかられる。
逃げたくなって腕を突っぱねたが、軽々と大きな手でまとめ上げられてしまう。
「逃げるなよ。」
これ以上ない力でつむった目に、何かが触れたがそれがわかる前に体に押しかかる重圧と手を捉える強さは消え、代わりにシーツが降ってくる。
「寝ろ、俺は別の部屋に行く。」
マイペースな足音が部屋から出て行くのを私は唖然と聞いていた。