第36章 テハイショ
ガッと鋭い音がなって私の顔の真横の壁に突き刺さる。
その鋭利なナイフを横目で見て、前に佇む人物を見据える。
冷え切ったような笑みに思考を奪われそうだった。
「逃げないでね?じゃないときっと殺しちゃうから。」
愉快そうに言われて慄く。
しかし、言外に傷つける気はないと言っているようで眉を潜めた。
「あなたは、私を殺したいのではないのですか?」
絞るように問えば、彼はキョトンとして、後に声をあげて笑った。
「何で?君は殺したら意味がないんだから、極力殺さないよ?可笑しい事いうなぁ。」
「…私、あなたと以前どこかで会いました?」
どうも私を知っているような口ぶりに引っかかる。
そういえば、さっきまで囲んでいたこの人たちもそうだったと今や亡骸になった人を見やる。