第35章 ショウキンクビ
気づいた時には既に相手の懐の中だった。
違う通りではないのにいつの間にか人気の無い橋の下に誘導されて居たらしい。
周りを囲む下衆な笑みを浮かべる相手を見やる。
「…どいていただけますか?」
出来るだけ丁寧に言って見たがニヤニヤと笑われるばかり。
これでは埒が明かない。
「通して下さい。」
誰か近くにいる人が気づかないかと少し声を張ってみるが、それは計算の内なのか周囲にはやはり気配を感じなかった。
どうしよう、ここでは裏路地に入ったようなもの。
船長さんに怒られてしまう。
「おとなしく捕まってくれれば何もしねぇよ。」
囲んだ一人がそう言う。
なるほど、おとなしくして居ればそうかもしれない。
ではその手に持っているナイフは何なのだと言いたくなる。
暴れたら刺すとでも言いたげだ。
見知った顔を追ってきただけだというのに…。
素早く周りを見渡す。
この橋の下から出るためには、通りに上がる階段をかけ登らなければならない。
しかしその間に捕まってしまいそうだ。
そもそもこの包囲を突破することも難しそうときた。
動かない私に対して、ジリジリと彼らは距離を詰めてくる。
「気をつけろよ、あれだけの賞金首だ、能力者かもしんねぇ。」
一人が警戒しきった声でいう。
…賞金首?
見に覚えの無い言葉に思わず首をかしげた。
「あの、賞金首ってなんですか?」
思わず挙手すると、囲んで居た男の人たちは唖然としたように動きを止める。
「俺たちを油断させようってか!?」
「そうはさせねぇ!!無害そうな顔してあれだけの額なんだからな!!」
話は通じなさそうだと悟る。