第32章 マナザシ
その後何着か見て生活用品は全て
揃えた頃、船長さんが棚の間から姿を表した。
「あら、もう終わりますよ。」
紅色が微笑めば船長さんは少しだけやはり慣れた様な笑みを浮かべた。
「あの本はもう読み終わった。そろそろ終わりなら適当にカウンターの本借りるぞ。」
「えぇ、どうぞ。」
「キャプテン!!どれもトウカの生活品、僕の両手いっぱいだよ!!」
後ろのベポくんが何故か嬉しそうに言い、私はそういえば生活必需品だけ選んで行ったつもりがなかなかの量になっていることに気づく。
これは流石に渋られるのではないかと船長さんをふり仰げば
「試着だけしておけ、使い物にならないものは買わない。」
そう言い残し、また奥へと去って行く。
「それもそうね。」
と、店員さんは納得すると、お店の一角にある小さな部屋へと招かれた。
ベポくんから服を受け取った店員さんが、私だけ招き入れて扉をしめる。
途端、表情が変わる、店員さん。
「どうやって取り入ったのよ?」
扉を後ろ手に、今まで隠していたことなど忘れた様な激情が、私に襲いかかる。
その名前は、嫉妬。
「あの、トラファルガー・ローが?なんであなたみたいな小娘?何で…!!」
決してそれは外には漏れない程度の小声で、しかし私の耳にはうるさい程響いて。
「ハートの海賊団の何をあなたが知っていて?」
一歩、こちらに進む。
緊張して、言葉など忘れた様に出ない。
「守られるだけの小娘なんて、邪魔よ。」
耳元で囁く様に放たれた毒。
「最も、私にとっては、あなたは邪魔。」
細い指が、私の頬を撫でる。
そのまま首筋に、鎖骨に妖艶になぞられてただでさえ言葉などでないのに息も苦しくなった。