第31章 ハツジョウリク
「今日はどんな御用?本棚はこの前の発注でペンギンが嘆いてたけれど…?」
「本棚はこの前ので今のところは大丈夫そうだ。」
「今のところは、ね。」
含みを持たせた様な店員の言葉に、軽く肩をすくめて答えた船長さんの視線が、私に移る。
自然と、店員さんの視線も私に移り、私は気づいてしまう。
「今日はこいつの生活用品の発注だ。」
その言葉を船長さんがいった途端、私は息ができなくなった。
私に視線を移した店員さんの目力が、恐ろしいほど増したからだ。
その中からは負の感情は認められない。
むしろ、活気のあるそれで私は何も言えなくなる。
「可愛いらしい子ね。どこの子?」
「うちの新しいクルーだ。」
「ふぅん。」
船長さんと会話をしている間も、その視線は外れることなくこちらを見やる。
燃える様な激情が込められたその瞳に、私は何も言えない。
それをわかってなのか、どうなのか、その心は測り知れない。
「ねぇ船長さん。」
船長さんがゆるりと首を回す。
「あなた、船には闘えない女はおかないっていったわよね。」
それは、疑問ではなく、肯定。
「ずいぶんと、可愛らしい子ね。」
二度めのその言葉には、感情がこもっていなかった。