第31章 ハツジョウリク
瞑っていた目を開いたら、私はもう陸に立っていた。
驚いたことに、本当に一瞬で移った景色に、改めて見せつけられたその力。
感心して目の前の船長さんを盗み見る。
船の方をみれば、みんな縄を使っておりてくるところだった。
「本当に、不思議な力ですね…オペオペの実。」
少し離れたここで、皆さんのことを眺めながら言うと、船長さんはこちらに一瞥を残したあと、鼻を鳴らす。
「そういえば、お前がこの力を見るのは三回めか。」
そう言われて頷く。
たぶん、敵船との戦闘時はこの能力をふんだんに使っているのだろうけれど、私は未だに、戦闘だけは外にいたことがない。
船員さんたちに私は非戦闘員だと思われているし、船長さんも、そう扱っているからだ。
初めて能力をみたのは私が人質に取られた時。
二回目は…船長さんの地雷を踏んでしまった時。
そして今日、船から陸に降りるこの三回目。
私の手に入れたいものと同じ悪魔の実。
その力を目の当たりにするたびに驚いてしまう。
「キャプテン!!ここ周辺は本当にどの海賊の船もないから、この辺でいいと思う!!」
駆け寄ってきたベポくんが、船長さんに伝えれば、満足そうに頷く。
「よし、ベポ、いくぞ。」
「アイアイ!!」
スタスタと歩き出す彼らに、おいていかれないようにと続く。
二人とも背が高いので歩幅が大きく、少し小走りになる。
「…」
必死になって後をついて居ると、船長さんが少しだけこちらを向いた。
何かと首をひねれば、
「ちゃんとつけてるな。」
と足元で微かな音を奏でるチャームを揶揄された。
もちろん、つけるに決まっている。
みんなからの贈り物だ。
船長さんがいくら枷と言おうと、私の中ではこれはそんな嫌なものではなく、もっと大切なものだ。
微笑んで頷けば、船長さんは鼻を鳴らした後、少しだけ歩くペースを落としてくれた。