第30章 カセ
その手にはいつの間にかチャームのついたチェーンが握られ、私を獲物でもみるかの様な目で見返す…。
「せ、船長さん…?」
恐怖心から呼んでみるが、返事もせずに私の方へ手を伸ばす。
後ずさろうとしたが、一歩早かった船長さんに、足首を掴まれ、引き寄せられる。
「お前が思っているほど俺たちは弱くない。」
まるで撫でるかの様に優しい手つきで足首を持ち直される。
行動が猟奇的な分、その優しさが少し怖い。
しかも、座った状態の彼の目の高さに足を持ち上げようとするものだから、いくら裾の長いワンピースでも、スルスルと上がってきてしまうわけで。
私は膝上に滑ってきそうな裾をとっさにベットに押し付け、それ以上肌が露出するのを避ける。
しかしそんな私の焦りも気にしていないかの様に、船長さんは、持っていたそれを私の足首に巻きつけた。
「首に付けてもいいけどな、首輪みたいで。だが、これが持つ意味はどちらかというと枷だ。」
「…カセ?」
静かに話す船長さんに、羞恥心も忘れて問い返すとシニカルな笑みが返される。
「今はわからなくて良い。当分わからなくてもいいがな。兎にも角にも、これは悪い意味でもいい意味でも、お前の枷になる。」
留め具を器用に止められる。
「お前は、俺たちからは逃げられない。」
流れる様にベットに降ろされた足首には、チャームが涼しい色を放って輝いていた。