第28章 ヤサシキヒト
「トウカ何食べたい?」
「ええと…温かいものなら…」
ペンギンさんの背中を見送りながらベポにそういえば、了解したかのようにキッチンへと消えて行った。
マスターさんは居るのだろうか…。
あの傷は、そんなに簡単に治るようなものではなかったはず…。
しかも、マスターさんはあの場に居合わせた唯一の証言者であるから、あれが私の仕業だって知っている。
そう、考えた瞬間に鼓動が大きな音を立てて刻まれる。
みんなにはきっと船長さんが言ってないだけで、マスターさんは知っているのだから…嫌われて、しまうのだろうか。
嫌うだろうか、仲間を傷つけた私を。
「あれ、マスターがいない…」
キッチンに入って行ったはずのベポ君が首をかしげながら出てくるのにも、ビクビクと肩を震わせてしまう。
「どこいったんだろ…」
困った顔をしているベポ君を見て、ホッとしている私は本当に薄情だ。
今のうちに、会った時何を言おうか考えておこう。
そう思った矢先だった。
「あ、マスターどこいってたの!!」
元気なベポ君が、私を通り越した先に声をかけたのは。
私は音を立てて振り返った。
本当は立ち上がろうとしたけれど、力が入らなくて…。
見たところ、怪我をしている方の腕は包帯で巻かれていて痛々しかった。