第25章 ユメノナカヘ
これでは猫ではない。
どちらかと言うと犬だ。
そんな事を考えながら俺は黒鉄をトウカの隣に降ろす。
「ロー殿は医者故、脈を測るのは簡単であろう?」
覗き込んだ俺を振り向きつつ、トウカの首元に肉球をぺたりと押し付けながら脈を測る真似事をする。
なんでもイイがそっちに脈はねぇと言ってやりたかったが、頷くにとどめる。
とりあえず今はこいつの言い分を聞いて、このバカ女の目を覚ます事が先決だ。
「トウカの脈を測り、その速度と自分の脈を完全にリンクした時に額とひたいをくっつければ意思が通わせられる!!」
「…無茶言うんじゃねぇ」
「へっ!?」
「そりゃあ無理だ。いくら俺が医者で、脈を正確に測れたとしてもその脈に自分の脈を完全にリンクさせるなんて方法はないな。」
「ないのか…」
耳を垂れるやつを横目で見ながら事実を突きつける。
そんなに簡単ではないことを言っているという自覚があったのだろうか…。
目に見えて落ち込んでいた。
だいたいにおいて、こいつは危ない時は脈が一定になるように守られてる。
今だって死んだように眠るせいで、脈が恐ろしく遅いというのに…。
「おい」
もしかしたらと、黒鉄に声を放つ。
「数秒程度なら、できるかもしれん。」