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審神者と刀剣と桜

第7章 初太刀・初脇差


 小夜がウチの本丸に来たのは、鍛刀だった。
 鍛刀をすれば、政府から褒美が貰える。でも自分の力と相談すると一日一振り~二振りまでしか鍛刀出来ない。
 そんな中で、”小夜左文字”を目覚めさせた。やっぱり、まだ力に慣れず、くらくらしている中で小夜のあの台詞を聞いた。

『僕は小夜左文字。貴方は……誰かに復讐を望むのか……?』

 台詞全部を聞けた後に、ウチは久しぶりに吐いた。その時は倒れるのでなく、吐き気に襲われた。
 あの時の小夜やその場に居た加州や他の子達には迷惑を掛けました。
 それから、小夜の言葉を聞かなかった事にして今日まで一緒に暮らしてた。

「貴方はあの時、僕の言葉を全部聞いてたんだよね?」
「え、いや、あのーー、」
「もう一度聞くよ、貴方は……誰かに復讐を望むのか……?」

 ピクリとも動かない表情のまま、また同じ問いを投げかけて来る。復讐したい相手なんて…。
 復讐したい人、頭の中に今まで会ってきた、関わってきた人達の顔が浮かぶ。生きていて欲しいと思う人達以外はどうでもいいと思う。

「何でそんな事を聞くの?」

 質問を質問で返すのはどうかと思うけど、こんな見た目小さい子がこんな事言うのは、なんか可笑しいと思う。
 小夜はいたって無表情のままである。そして何も言わない。フーン、まあいいや。

「…復讐したい相手っていうのは一杯いるな。人は好きじゃないから余計に。でもさ、死んで欲しいとまでは思ってないよ。寧ろ、生きながらえて、”生き地獄”っていうのを味わえば良いとは思ってる。」

 大事な人が殺されてしまったら、どうなるか分かんないけど、でも死ぬ事よりも生きている事の方が地獄って事が多いし。…こう思っているのも、復讐に入るのかな?

「今まで、嫌な事でもあったの?」
「別に。人に虐められて、虐めて、信じてた人に裏切られて、ただそれだけだよ。人はウチも含めて口だけは達者だから。」

 裏切られたのも虐められたのも半分は自分の所為でもあるし。それに虐めだって軽い物だし、虐めた事だってある。無視するとか悪口とか。
 結局、人ってそういうもんでしょ?生まれてから死ぬまで”良い人”っていう人はいないよ。
 冷めた口調に笑顔を付けて小夜の問いに答えた。一気に自分の中の冷めた部分が出てきた。

「まあ、実際に大切な人に何かあったなら、考えるかもね。」
「そう…。」
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