第5章 二人の夢*黄瀬*
男子は一足先にIH神奈川代表となり、全国への切符を手にした。
女子決勝リーグ現在1勝1敗。
4校中代表になれるのは上位2校。
既に全勝のチームがいるので、残る椅子はあと1つ。
今日勝てば代表決定という大一番だった。
第4Q残り10秒。
59-61で、2点ビハインド。
「名前!」
キャプテンが私にパスを回してくれたけど、すぐにがっちりマークが付いて突破できそうにない。
「名前っち!いける!」
その時、黄瀬くんと何度も練習した記憶がフラッシュバックされた。
「男女一緒に日本一になる」
全国に行けなくちゃ二人で誓ったこの夢は叶わない。
膝を柔らかく使って。
ゴールをしっかり見て。
黄瀬くんが見せてくれたフォームを思い浮かべて。
3Pラインの少し後ろから、私はボールを放った。
すぅっとボールがゴールに吸い込まれる。
試合終了のブザーが鳴った。
「…やったー!!!!」