第33章 駆け引きなんていらない*今吉*
あれから1ヶ月。
今吉先輩とは部活のこと以外は言葉を交わしていない。
というか、私が無意識に避けているみたいで、彼と距離をとっていた。
月に一度の告白が起こらなかったので、部員の皆も何となく気が付いているみたいだった。
「なー、苗字。お前この間コクられてたろ?」
青峰が急に私に向かって尋ねてきた。
「聞いてたの!?」
「だって俺屋上の入り口の上にいたし。」
お前意外とモテるんだな、とニヤニヤしながらからかってきた。
「あいつと付き合えば?今吉さんにフラれたんだろ?」
その言葉がぐさりと胸に突き刺さった。
フラれたのにまだ諦めきれない自分がいる。
ただずっとこのままではいられないのもわかっていた。
「…そうだね。そうしようかな。」
「それはワシが困るわ。」