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黒子のバスケ*Short Stories

第33章 駆け引きなんていらない*今吉*


舞台に腰掛け、思いを伝える相手を待つ。

するとブレザー姿に変わった今吉先輩が現れた。

「今吉先輩、わざわざすみません。」

私は舞台から降り、彼の元へ向かった。

「…急に改まってどうしたん?」

彼はしっかりと私の瞳を捉えて尋ねた。

これが最後だ。

目をそらしそうな気持ちをこらえ、私も真っ直ぐ彼を見つめた。

「私は今吉先輩のことが好きです。私とお付き合いしていただけませんか?」

顔が火照ったように熱い。

胸がぎゅうっと締め付けられる。

足が緊張で震えている。

言葉を伝えると私は彼の見透かしたような視線に堪えきれなくて俯いてしまった。

「…いつもありがとうな。だけどワシは苗字の気持ちに応えられへん。すまんな。」

いつもなら「私諦めませんから!」って笑顔で返せる。

だけど、これが最後だって決めたから。

「私こそ今まですみませんでした。もう諦めますから。」

いつもみたいに笑顔で言おうと思ったのに。

彼が体育館を出るのを見送った後、ぽろぽろと涙が溢れ止まらなかった。
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