• テキストサイズ

黒子のバスケ*Short Stories

第28章 文化祭②/黄瀬*氷室*赤司


「……!」

突然の一言に驚きを隠せなかった。

「…ごめんなさい!今の忘れて!」

名前が耳まで真っ赤にして、慌ててかき消そうとしているのを見ると嘘ではないとわかる。

「…ちょっと練習に付き合ってくれない?そこに座って。」

彼女は戸惑いの表情を浮かべながらも、白いクロスがかけられた席に腰かけた。

俺は衣装のジャケットを羽織り、白い手袋をはめた。

そして彼女の横に膝まずき真っ直ぐ瞳を見つめた。

「お帰りなさいませ、お嬢様。」

ふわりと微笑むと、彼女もつられてか笑みをこぼした。

彼女の手をすっと取り、言葉を続けた。

「貴女が望むなら、私はいつでもお側におります。」

彼女の顔は赤く赤くなっていき、ぱっと目を反らされてしまった。

「すごいよ…氷室くん本物の執事みたいだもん。明日女の子のお客さんみんなメロメロだね!」

「お嬢様、私は執事ですので名前でお呼びください。」

「えっ…!うー…た、辰也…。」

絞り出したように呟くと、彼女は両手で顔を覆ってしまった。

「…なんてね。ごめんね、ちょっとやり過ぎた?」

「…氷室くんは意外と意地悪だなぁ。」

反応が可愛くてついついからかってしまった。

だけど、一度だけ自分の名前が呼ばれたことに何故か胸が熱くなった。

「名前、これからも名前で呼んでよ。…お願い。」




/ 445ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp