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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第45章 前方互換アノード


「いいえ、むしろ香さんの方が心配です。生身の体にあんな動きが耐えられるわけありません」

エドは小声で言ったが、ヨンスには聞こえてしまっていたらしい。

「全然処理能力が足らないんだぜ……あと10分もないのに……!」

再びなだめようとしたエドが、直前でその口をつぐむ。

電波塔は目前にあった。

そこにある、中央制御コンピューターも。

つまり――

もう、パスワードがわかってなきゃならない。

なのに。

頭をぐしゃぐしゃとかきむしるヨンスからも、唇を噛んで立ち尽くすエドからも、痛いような静寂に沈むライヴィスとリトからも。

もう間に合わないんだなという、苛立ちと諦めばかり伝わってきて。

『電波塔は一番危険なエリアです』

第一のセーフハウスに出発する前に聞いた、ライヴィスの言葉を思い出す。

あの黒い“靄”がうようよいるらしい。

あれに飲まれたら、多分香くんみたくなってしまう。

仲間を攻撃するか、それかこの世界の自壊に巻き込まれて、現実世界にきっと戻れなくなってしまうか。




このままパスワードがわからなければ、

「全滅……――を避けるために、公子さんは“戻ってください”」

エドが私を見て、真剣な顔で言った。

そのとき。

ジジ、と視界にノイズが走った。





≪あなたはこの異変解決の鍵です。それは公子さん以外の誰にもできません≫





≪てことで公子、兄貴のことよろしく頼むんだぜ。俺のことが好きすぎるから心配なんだぜ≫





≪な……なに言ってるんですかふたりとも!?≫





「そうです! みんなで無事に戻るんですよ!!」

トーリスの声が、やっと、近くに聞こえた。

まるで夢から、現実に戻ってきたみたいに。

足がふらつく。頭がガンガンと痛い。

おかしな、気味の悪いデジャヴが五感の全てを支配していた。

――嫌だ。

――私は、これを、一言一句違わぬ彼らの言葉を、

・・・・・・・・
聞いたことがある。







『お前は、欠けた“X”なんだと思う』

『だから、公子が救世主なんだ』





耳元で、ギルがそう囁いた。




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